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地下芸人/おぎぬまX 芸人的な世界にうんざりしてない人には楽しいかも

読書感想
地下芸人/おぎぬまX 感想

YouTube、ポッドキャスト等で配信されている本と雑談ラジオ第120回で紹介されていた「地下芸人」(おぎぬまX)を読みました。

あらすじ、内容について(ネタバレあり)

天才おぎぬまXは一体何個の才能を持っているのだろうか… …。これは世界一熱い男おぎぬまXが描く、世界一熱い男たちの夢と友情の物語だ。一度でも何かに夢中になった事がある人は魂が揺さぶられないわけがない。
山本さほ (漫画家)

作者のおぎぬまX氏は自身も芸人活動を4年ほど行っていたそう。また、滅多に受賞作品が出ないことで有名な赤塚賞という漫画の賞も受賞しています。

経歴をみると小説は本作が処女作のようですが、芸人としては成功しなかったとはいえ多才な人です。あるいは、芸人として生き残るということは、そのくらい難しいことだと言えるのかも知れません。

内容としては、タイトルからも分かるように、売れない芸人たちの日々を描いたもの。

主人公オダが相方の広瀬と組むのは「お騒がせグラビティー」というコンビ。結成して十年がたっても、ろくな仕事もないままくすぶっています。

バイトばかりの冴えない日々、同期たちとの確執、相方とのネタづくり、コンビの今後の行方……自身の経験を活かした、半私小説のような感じなのでしょう。

章立てが「三月五日」から始まる日付になっていて、最後は「三月三十一日」で終わる構成で、この間のオダと広瀬の日々が描かれています。

売れずに十年たつ芸人の、単なる一ヶ月を描いても大して面白くはないでしょう。
本書では、相方の広瀬が芸人をやめることをオダに伝え、最後のライブまでの一ヶ月と設定することがストーリーの要となっています。

感想、所感

本と雑談ラジオでも言われていますが、芸人たちが披露するネタの部分を、ぼやかすことなく書かれているのが特徴的。

かといって、売れない芸人のネタですから劇的に面白いわけではなく、本文の都合上、ウケた、とされるネタに関しても、まあほっこりするといった程度。ここは個人の好みもあるでしょうが。


好みでいうと、そもそも今やテレビのお笑い番組や芸人の出る番組をさっぱり見なくなり、芸人の世界そのものに興味がなく、この本の特徴である地下芸人まわりのディテールもそこまで思い入れをもって受け止めることができませんでした。

それでも、青春物語としてはそれなりに成立してるし、主役のキャラクターなんかも好感が持てるし、おぎぬまX氏の、変に飾らない素朴な文章も物語の世界観とあっていて悪くなかったです。

とはいえ特筆すべきなにかあったかというと、そうでもないかなとやっぱり思うわけで、本を読んでから一月以上経ってしまっているのを考慮したとしても、そこまで強く印象に残ってません。


本と雑談ラジオの二人ほどは素直に「面白かったー」と言えないのは、ひとえにテレビに出ている芸人的な人たちへの興味がそもそも無いからなのでしょう。

これが例えばまったく知らないスポーツを巡る青春小説だったとしたならば、あるいはそのスポーツに興味が持てたかもしれませんが、しかし、こちらから意識的に避けている芸人的な世界にはやはりちょっと感情移入しにくかったです。

そのあたりに特段の抵抗ない、または興味がある、という人には楽しく読める一冊だと思います。

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