10月4日(日)に開催を予定している第4回松本マラソン。本日(2020年4月25日)時点で、エントリーは継続して行われています。新しいコースも発表され、定期的に参加したい大会なのですが、3月初旬からの募集開始ということで、さすがに申し込みをためらっていました。
公式サイトには「今後引き続き公的機関や専門機関から情報収集しながら状況を見極め、5月上旬をめどに今年の開催について対応を固める方針」とありますが、普通に考えれば開催はかなり難しい状況でしょう。
近隣の大会では、6/21(日)の乗鞍天空マラソン、7/12(日)の小布施ミニマラソンをはじめ、松本マラソンよりも先の予定である10/25(日)の第32回諏訪湖マラソンも中止を発表しています。
ランニングやウォーキングなど、体を動かすこと自体はよいとされているものの、運動時は呼吸が激しくなるため、5~10メートル以上の距離が必要とも言われます。三密の基準に照らすと、密閉は問題ありませんが、これがマラソン大会となると、密集、密接にはかなりの問題がありそうです。
新型コロナウイルスに対する社会の向き合い方は、これから変わってくることも十分に考えられますが、少なくとも今現在の感覚で、マラソン大会における新型コロナウイルス対策という観点で検討が必要と思われるところをピックアップしてみたいと思います。
会場までのアクセス
スタート会場の最寄り駅までの電車移動については、首都圏に在住してる人からすれば、通勤、通学で経験する満員電車に比べるとそこまでの混雑ではないと思います。
ところが、駅からスタート会場へ移動するためにシャトルバスの利用が必須となるケースがけっこうあり、バスに乗るための長い行列ができ、バスの車内もパンパンに人を詰め込んでの運行となっています。
地方の大会では車の利用者も多いでしょうが、その駐車場からスタート会場までの移動には結局シャトルバスを利用するケースも多く、会場までのアクセスの部分ではシャトルバスと行列の三密対策は必須と言えます。
スタート会場、更衣室、手荷物預かり、トイレ
スタート会場は、体育館や陸上競技場が用意されていたり、なかったとしても広々としたスペースのある運動公園というケースが多いと思います。しかしながら、とにかく参加者全員が一堂に会するのがスタート会場です。
シャトルバスで到着した瞬間から、大勢の人たちでごった返す会場。着替えをするための体育館のなかも、溢れんばかりのランナーたち。仮設トイレには長蛇の行列、手荷物を預けるのにも並びます。
到着時間や進行にもよりますが、だいたいの大会では、到着してからスタートするまで少なくとも一時間以上はこの環境の中で待っていなくてはなりません。
最近のニュースで問題になっている都内の公園や、江ノ島、鎌倉などの比ではない密集度です。
スタートエリアでは全ランナーがひしめきあって号砲を待ちます。
そして、スタートの合図。ランナーたちの言葉にならない咆哮と沿道の方たちの大歓声を受け、肩をぶつけ合いながら一斉にスタート。
もちろんこれが、わざわざ安くないお金を払ってマラソン大会に参加する醍醐味でもあるのですが、新型コロナウイルス対策の観点で見たら、ツッコミどころだらけであることは間違いありません。
スタートからゴールまで
スタートからしばらくは、密集、密着のまま。まだ息も苦しくなく、仲間たちとワイワイしゃべりながら走っている人も多いです。
進むにつれて徐々に人もばらけてきますが、実際のところ、ある程度の規模以上の大会では、5~10メートルどころか2メートル以内に人がいなくなることはほぼ無いのではないでしょうか。
大会の上位を狙うトップのランナー、あるいは逆に、制限時間ギリギリの最後尾付近では人も疎らかもしれませんが、多くの一般ランナーたちは、スタートしてからゴールテープを切る瞬間まで、近くの人と抜きつ抜かれつしながら走るものです。
もちろん、普段ひとり黙々と走っているランナーにとって、これもまた醍醐味なのですが。
沿道の応援
沿道では、地元の家族連れをはじめ、小学生の吹奏楽や、サークルのダンスなど、様々な団体がさながらお祭りのステージのように応援をしてくれます。時に小さな子供がハイタッチで迎えてくれ、地元のお婆さんからは飴の差し入れがあったり。
小学生が学校に行けず、あらゆる集まりが中止になっている今、ちょっと夢物語にさえ思えてしまいます。
給水・給食
長い距離を走りますから、ランナーへの給水、給食の提供も必須。
多くのボランティアが手作業で紙コップにドリンクを用意し、フルーツや甘いもの、地元ならではの食材を並べてくれていますが、口に入れるものだけに、より厳重な対策が必要になるでしょう。
コース上のトイレ
コースに設置されているトイレは、いわゆる仮設トイレ。スタート会場やゴール地点のトイレには手洗い場も用意されていますが、コース中の仮設トイレには必ずしも設置されていないケースも。
走っている最中は汗をたくさん掻きますから必然的に手で顔を拭うことも多く、トイレのドアなどを経由して接触感染のリスクが高いと言えるのではないでしょうか。
消毒用アルコールなどの衛生用品が手に入りにくい状況が改善され、各トイレに消毒できる環境が整っていることが必要でしょうし、トイレ行列への対策も考えなくてはいけません。
ゴール地点
ゴール後は、さすがにスタート時に比べると参加者の密集度は低くなっていますが、それでも、走り終わったあとは記念品の受け渡しなどでボランティアさんとの接触があります。
フィニッシャータオルや完走メダルを掛けてもらい、記録証、濡れおしぼりを受け取り、大会によってはおにぎりや軽食を頂くこともあります。そこで、ボランティアさんに労いの言葉をかけてもらうのが最高の癒やしなのですが、ウイルス対策としては直接的な接触を減らすべきポイントとなるのかもしれません。
考えられる対策
以上のように、これまでみたいなマラソン大会を開催することの障壁は、思ったよりも高く感じますが、思いつく範囲で対応策を挙げてみたいと思います。
参加人数の削減
大会を主催する意義、収支として成り立つのか、など、根本からの問い直しになりそうですが、まさに今、人と人との接触8割減が謳われているように、とにかくその場にいる人数を減らさないことには、ウイルス対策にも限界があるのではないでしょうか。
ウェーブスタート
とにかく一番密集するのはスタート地点。これを少しでも解消するために、複数グループごとに分けてスタートをするウェーブスタートという方法があります。
中途半端なウェーブスタートではなく、しっかりと間隔をあけ、できるだけ多くグループ分けをしたほうが、ウイルス対策としてはベターでしょう。昨今の大会はICチップがタイムを正確に測定してくれるので、走っている最中の順位を気にするランナーはそんなに多くないという点でも導入しやすいのではないでしょうか。
もちろん、参加人数や一般道を閉鎖する制限時間との兼ね合い次第ですが。
参加賞はバフやバンダナに
参加賞の定番といえば大会オリジナルTシャツ。
これを、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授も推奨しているバフや、バンダナ的なものに変更し、走っている間には着用を必須とする決まりにしてはどうでしょうか。
保健所、感染対策専門家による指導、チェック
マラソン大会に限った話ではないかもしれませんが、ある程度の規模のイベントを行うにあたっては、専門家によるチェックが行われ、なんらかの感染対策の基準をクリアしているという認証を得るということは、イベントへの信頼度のひとつの指標になるのではないでしょうか。
身近なところでいえば、飲食店だって保健所の許可を得ないと営業できないわけです。あるいは、ISOなどのように企業が認証を取得するケースもあります。
ウイルス対策の基準がクリアされていたり、専門家のお墨付きがなければ、これまでのように開催する市町村の人たちだって参加者を歓迎してくれないかもしれません。
参加者の抗体チェック、ワクチン接種
いっそのこと、参加者全員に抗体チェックを行い、抗体をもっている人のみが参加できるということにすれば安心して開催できるのではないでしょうか。
参加前に医者へ行ってもらい、診断書を添付することを参加条件としてしまうのです。ワクチンが開発された暁には、ワクチン摂取を義務付ければよいと思います。
この辺りについては報道などでも様々な情報が飛び交う状況ですので、もちろん、医療状況や、新型コロナウイルスに対する研究次第であることは言うまでもありませんが。
オンラインイベント化
スマホやGPSウォッチ、あるいはジムのランニングマシン、Wiiやプレステとの連動など、人と会わない形でイベントに参加できる環境は、今はたくさんあります。
これまでのように、開催地に人を集める形とはだいぶ変わってしまいますが、映像の送受信もストレスなくできる時代ですから、なんらかの会員用コミュニティを用いて走ることと兼ね合わせたイベントは不可能ではないでしょう。地元品を売るショップの宣伝、観光アピールなど、間接的に地域に貢献することもできると思います。
可能性が広すぎて今ひとつ漠然としたことしか言えませんが、きっともっとネットに詳しいビジネスシーンの人たちが、何か打ち出してくる日は遠くないでしょう。
まとめ
素人の思いつきレベルながら問題点と対策を考えてみました。
自粛でStayHomeが推奨されている現状を考えると、これまで通りの人数を集めてマラソン大会を行うということは、思った以上に遠い道のりに思えてきます。「こうすれば解決できる!」なんていうイメージは、まったく沸かないというのが正直なところです。
これからもっと新型コロナウイルスに対する理解が進み、社会の向き合い方が変わってくれば、これらの心配事はまったく無用になるかもしれません。むしろ、そういう未来が来て、今まで通りのマラソン大会にまた参加できるようになるのが一番です。
ステイホーム週間が始まったばかりの現時点では、ちょっと夢のような話に感じてしまいますが……
松本マラソンはまだ今年が4回目だというのに、第2回が天候不良で中止、今年も開催が危ぶまれます。果たして、来年以降はどのような形が考えられるのでしょうか。
最悪、大会自体が無くなってしまっても驚かないような状況ですが、第5回松本マラソンが開催されるのであれば、どんな形であれ参加したいと思います。
コメント
[…] 先日、軒並み中止が発表されているマラソン大会開催の難しさをまとめてみましたが、もう一つの趣味で、毎週のようにプレーしていたテニスもできなくなっています。 […]