星の子/今村夏子 親子で星を眺めるラストシーン。その感動の理由をぜひ知って欲しい!

星の子/今村夏子の感想 読書
星の子/今村夏子の感想

少し前に読んだ本ですが、今村夏子さんの星の子がとても良かったです。

第39回野間文芸新人賞受賞、そして、第157回芥川賞候補にもなりました。

主人公は中学3年生の女の子、ちひろ。

両親は、ちひろの幼い頃の病気をきっかけに新興宗教にのめり込んで行きます。
父は仕事をやめてしまい、引っ越すたびに家は小さくなり、あげく、いつもジャージ姿で、頭には水に浸したタオルを乗せるようになる始末(宗教の教えにより)。

しかし、そんな両親に対してちひろは文句ひとつ言いません。
純粋といえば聞こえはいいけど、どこか“空気が読めない”ところがある女の子でもあります。

今村さんはデビュー作「こちらあみ子」でも知的障害の女の子を主人公に据えており、そういった事情ゆえの暗さや純真さを巧みに描いています。

ちひろはそんな両親のことがいつも大好きでしたが、周囲はそうはいきません。
姉は家を出てしまうし、叔父は両親に対していろいろと働きかけます。

そんな三人の暮らしに、ちひろの高校進学を控えて変化の兆しが訪れます。

明確には書かれていませんが、両親は、ちひろには宗教から離れ、普通の高校生活をしてほしいと考えたのだと思います。
おそらく両親のもとをはなれ、叔父の家族と一緒に暮らすような形で。
叔父の説得による部分も大きいでしょうが、何よりちひろの将来を思っての決断です。

宗教施設のそと、親子三人で、星空を眺めるラストシーン。
両親は、そのことをちひろに伝えようとします。
ところが、いざちひろを目の前にすると、なかなか切り出せません。

寒いから早く戻ろう、そう両親を気遣うちひろ。
もう少し星を見ていようよ、と引き止める両親。

お互いのことを思いやる気持ちが交錯する、じつに素敵な場面で小説は終わります。

この、多くは語らないのにいろいろな感情の込められたラストシーンにすっかり魅了されてしまいました

ところが、説明の少なさゆえか、必ずしも読む人すべてに伝わらないところがあるようです。
いろんなレビューや感想を読んだり、実際に人に薦めて感想を求めても、思ったほどの反応が得られないことが多いのです。

そのため、ここではけっこうネタバレしながら説明をさせていただきました。

ぜひこの今村ワールドを味わっていただき、感想を聞かせてほしい!
そして、できれば感動を共有したいと願わずにはいられません。

最後に、こちらのインタビュー記事を紹介します。

小説を書き始めたのは29歳。
読書家でも文章の修業をしたわけでもなく、「作家ってなんとなくかっこいいと思って」書いたのがきっかけでデビュー。
そのデビュー作「こちらあみ子」は太宰賞を受賞します。

つづく2作目。
プレッシャーで苦しみながら、だ完成させることだけを目的に書いた「あひる」が第5回河合隼雄物語賞受賞。
芥川賞候補にも挙がります。

インタビュアーは今村さんを「天然小説家」と称していますが、もはや天才小説家といってもいいくらいではないでしょうか。

今村夏子さん経歴

広島県内の高校を経て大阪の大学を卒業。その後は清掃のアルバイトなどを転転とした。29歳の時、職場で「あした休んでください」といわれ、帰宅途中に突然、小説を書こうと思いついたという。そうして書き上げた「あたらしい娘」が2010年、太宰治賞を受賞した。同作を改題した「こちらあみ子」と新作中篇「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』(筑摩書房)で、2011年に第24回三島由紀夫賞受賞。「こちらあみ子」には、子どもの頃の郷里の思い出も散りばめ、広島弁もさりげなく登場する。
2014年刊の『こちらあみ子』ちくま文庫版に新作「チズさん」が併録されたが、それ以外に作品の発表はなく、半引退状態となっていた。
2016年、新創刊された書肆侃侃房の文芸誌〈たべるのがおそい〉で2年ぶりとなる新作「あひる」を発表し、第155回芥川龍之介賞候補に挙がった。同作を収録した短篇集『あひる』で、第5回河合隼雄物語賞受賞。
2017年、「星の子」で第157回芥川賞候補、第39回野間文芸新人賞受賞
2013年に結婚し、大阪市内で夫とふたり暮らし。

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