2019年10月6日(日)に行われた、第3回松本マラソンは定員1万人に対して申込者が8,311名、当日出走した人が7,314名でした。まだ歴史が浅いとはいえ、中信を代表する都市で開催される大会としては、少しばかり寂しい状況といえます。
目標であり、ライバル大会となるべき長野マラソンは、2019年4月に開催された第21回大会で、申込みが11,018名、出走9,493名と、松本マラソンを大きく上回る数字。
松本マラソンが定員の1万人以上を集められる人気大会となるための考察を、あくまでも一参加者の目線で、好き勝手に語ってみたいと思います。
松本マラソンの魅力と不満
コースの魅力的なところ、イマイチなところ
ランナーがマラソン大会を選ぶポイントの筆頭は、やはりコースだと思います。
「このコース走ってみたい!」と思ってもらえるかどうかはかなり重要。
松本マラソンのコースが魅力的ではないとは言いませんが、「これまでに参加したどのマラソン大会に比べてもいいよ」とは素直に言えないのもまた事実。
東京マラソン、静岡マラソン、横浜マラソン、安曇野ハーフマラソン、春の松本ランニングフェスティバル、ふじかわキウイマラソン、よこはま月例マラソン
松本マラソンのコースで、走っていて気持ちのよいところ、イマイチなところを幾つか挙げてみたいと思います(個人の感想)。
気持ちのよいところと言いながらも一言注文が付いてしまうのは、逆に言うと物足りない、魅力を活かしきれていない点でもあります。
松本城のお堀沿い
市役所北の交差点から大名町通りまでの、松本市役所とお堀に沿った通りが最も松本城の雰囲気を感じられるコース。
しかし、天守閣は先のほうがわずかに見えるだけ、距離も約350メートルと物足りず。戦国の城が堀の外から丸見えなのは不自然だと分かってはいますが、松本城の優美さを満喫するというわけにはいきません。
薄川沿い
松本城を背にしてしばらく進むと薄川に。栄橋を東に曲がった薄川沿いは、清流と雄大な美ヶ原方面の山々が間近に迫る、松本らしい景色にテンションがあがります。
このコースも石井橋まで約600メートルほどと、もう少し楽しめると嬉しいです。
田園、そば畑の風景
刈り取りの終わった田んぼ、赤茶色の広がるそば畑というのは、やはり秋の信州を感じられる景色で、都会にはない広々とした田園を縫う農道のような道も走っていて楽しい場所。
田川高校あたりからスカイパーク周辺までそうった景色が楽しめますが、逆にここは長い折返しもあってやや冗長。また、本当ならば緑豊かな水田、白い花の咲くそば畑が見られれば一番いいのだろうな、とも思ってしまいます。
信州スカイパーク
よく整備されたスカイパークのランニングコースは走りやすいのはもちろん、緑も多く、空港らしい独特の視界の開けた感じがとても気持ちいいです。
ただ、3月に行われている春の松本ランニングフェスティバルにも何回か出場した身としては、ここをぐるりと一周できる春ランのほうがより満喫できるな、とも思ってしまいます。
30km過ぎからの住宅街
走っていて意外と精神的にダメージが来るのは折り返しのコース。「またここを戻ってこないといけないのか」と、つい反対側のコースを見てしまうものです。
松本マラソンのコースは、30km過ぎてからの終盤が長めの折返しで構成されており、景観も普通の住宅街で代わり映えしません。その分、応援の方が多いのは励みになるのですが、やはりキツいイメージのほうが勝ってしまいます。
観光スポットが豊富、旅ランにぴったり
せっかく松本まで来たら、マラソンだけでなく観光地を巡るのも旅ランの醍醐味。そういった意味ではとても旅ランに向いている土地だと思います。
松本城をはじめ、松本駅から歩いて散策できる範囲に充分に楽しめる観光スポットがあるのに加え、安曇野、諏訪方面へも1時間以内で移動できるというアクセスのよさです。
松本城、旧開智学校、城下町(中町通り、縄手通り)、松本市美術館
浅間温泉、美ヶ原温泉、大王わさび農場、諏訪湖
こんな松本マラソンのコースを走ってみたい
妄想 松本マラソンコース
松本は松本城を中心とした歴史ある観光都市であり、けっして街として魅力が少ないわけではありません。ところが、当たり前ですがマラソンというのは常に移動しているわけで、ひとつ観光スポットがあったとしても通り過ぎてしまうため、いくら観光名所が数多くあったとしても、コースとしての魅力には直結するわけではありません。
松本マラソンは既に日本陸連公認コースとなっていますし、実現できるかどうか考えず、もしこんなコースが走れたらめっちゃ楽しそうだな、という観点で提案させていただきます。
中町通り、縄手通り、高砂通りなど 城下町を堪能したい!
中町通り、縄手通りは、普段は観光客で賑わう松本城下町を代表する商店街。街ブラ、散策をしても楽しいエリアです。
道幅は決して広くありませんが、歴史を感じられる町並み、土蔵の白い漆喰、なまこ壁の続く通りを、観光客にぶつかる心配なく走ることができたら気持ちよさそう。
また、城下町ですから敵からの侵入に備えた、食い違いや、鍵型の道が多く残っています。そのような、敵に備えた先人の工夫を体験するべく、敢えてぐるぐると、街なかを右に左に曲がりくねったコースなんていうのもワクワクします。
松本城公園 松本城を間近でみたい!
そもそも走ることを前提としてない松本城公園。狭いところもあるし砂利もあったり、コースとして設定することが難しいのは百も承知なのですが、松本城公園から見る松本城であれば、走り抜けるわずかの時間であってもランナーの心に美しい姿を焼き付けることができるはず。
どうしてもお城を間近で見ることが難しいなら、せめて外堀を一周するようなコースであれば、見えずともお城の存在を感じながら走ることができるのではないでしょうか。
松本といえばなんといっても松本城。もう少し堪能したいというのが正直な気持ちです。
堤防道路
奈良井川両岸にある車専用(?)の堤防道路。一般的にイメージする堤防の上の道路ほど高さがなく、道幅も狭くてサイクリングロードのよう。川に掛かる橋をパスするための分岐と合流の感じなどはアトラクションさながら。
個人的には、松本でしか見たことのないような道路で、ここをコースとして走れたら面白そう。
長野道
過去に参加したことのある横浜マラソンでは首都高速を走ることができました。また、アクアラインの地上部分を海ほたるまで往復できる、ちばアクアラインマラソンなども人気。
比較的平坦な松本ですから、ちょっと小高い場所を通っている長野道を走ることができたら、北アルプス、美ヶ原方面どちらの山並みも見渡せる絶景を気持ちよく走れそうです。
松本空港の滑走路
萩・石見空港マラソンが、全国で唯一の滑走路を走ることのできるマラソンということを謳い文句にしています。安全上の問題や時間制限がシビアだとは思いますが、萩・石見空港マラソンのように、スタート地点を空港付近にして滑走路を走ることのできる時間制限を設ければ、不可能ではないことが証明されています。
スカイパークの外周コースでさえ広々として気持ちよいのですから、もし滑走路が走れたら最高に楽しいに違いありません。やはり、この大会でしか走れないコース、というセールスポイントは強力。
他のマラソン大会から勉強しよう
松本という知名度のある地方都市、観光資産もあって自然も豊か、新宿からあずさで2時間半と盛り上がる条件はそれなりに揃っています。
同じような地方都市、あるいは松本よりも条件の悪い場所であっても、独自の特色を出して参加者に喜ばれているマラソン大会をいくつか紹介してみたいと思います。
水戸黄門漫遊マラソン
大会の歴史や街の規模感からしても、仮想ライバル大会と位置づけるのにちょうどよい大会ではないかと考えています。
2019年の第四回大会は、3キロ、5キロ、フルマラソンの3部門合計で1万3977人の参加者。
品川から一時間半で行けるという立地の良さはあるにせよ、松本マラソンより人を集めています。
まず、大会名からも伺えるように、水戸といえば水戸黄門。
この誰にでも分かるセールスポイントを最大限に使って集客していることがわかります。
格好いいとかカワイイとかより、とにかく水戸黄門。
そして、印籠の完走メダル!
完走メダルというのはもちろん嬉しいものですが、溜まってくるとやや持て余し気味にもなります。この印籠メダルは、それでもコレクションに加えたくる遊び心満点のメダルです。
この動画を見る限り、正直なところ走ってみたいと感じるのは千波湖を周回する道路のあたりくらい。コースのポテンシャルで言えば松本マラソンのほうに分があるのではないでしょうか。
龍馬脱藩マラソン
令和の時代に、唯一脱藩体験ができるマラソン大会。
高知龍馬マラソンという、同じく龍馬を押し出した高知市で開催される1万人規模のマラソン大会もあり、そちらの大会のほうがアクセスもよいしコースも平坦。
しかし、どうせはるばる四国までいくのであれば、高知市から更に車で1時間半くらい足を伸ばし、梼原町という読み方もままならない町の1,500人規模の大会に出るのもいいかな、と思わせる魅力が脱藩というワードにはあります。
コースも高低差550メートル、フラットな場所はほぼ無いという過酷さ。脱藩ルートに選ばれるくらいなのだからそれも当然です。
龍馬の如く、脱藩を果たそう
という龍馬脱藩マラソン公式サイトにある煽り文句にも、俄然参加意欲をそそられます。
そしてもらえる完走証は脱藩認定証。
この大会、もともとは四国カルスト高原マラソンという名前だったそう。
龍馬脱藩マラソンというネーミングとコンセプトを考えた人に拍手。
乗鞍天空マラソン
松本マラソンと同じく、松本市の乗鞍で開催される大会でありながら、規模、コースともに大きく特徴を異にする大会。
2019年の第十四回大会では、1,500名の募集にたいして男女合計で約1,200名を集めています。
「日本一高いところを走るフルマラソン」と謳っているとおり、スタート地点である乗鞍観光センターの標高が既に1,500メートル。
そこから、普段はマイカー規制がされておりシャトルバスしか走れない乗鞍エコーラインをひたすら駆け上がり、折り返し地点の標高なんと2,600メートル。
富士山の吉田口、富士宮口の五合目の標高よりも高いのだからもう呆れるしかありません。
本来であれば不利といえる立地や地形などの条件を、逆にオンリーワンの売りにしています。
どんなコース、場所であっても、ランナーはそこにしかない魅力を感じることができれば、喜んで集まる人種。天空マラソンというネーミングも最高です。
コース変更が発表された!
まったくの偶然なのですが、この記事をアップしたのと同じ日、2020年1月28日(火)に松本マラソン実行委員会が新コースを発表したそうです。新聞掲載は1月29日(水)ですから、もちろん知っていたわけではありません。
松本城をより堪能したい、堤防道路を走りたい、スカイパーク周回、後半の折返しコース廃止、など、ブログで希望していたところがかなり取り入れられており、軽く予言があたったような気分になっております。
実際は、多くの人が似たような不満を抱いていたのだろうし魅力向上をきちんと考えれば同じような結論に至る、ということなのでしょうけれど。
それにしてもここまで大胆にコース変更に踏み切った実行委員会には拍手を送りたいと思います。
これでまた、迷いなくエントリーをする気持ちになりました。
あとは、水玉、あるいは漆黒のデザインコンセプトなど取り入れてもらえたら言うことありません。
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