話題の新書、大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実を読みました。
朝日新聞の記者二人が同一のテーマを調査しながら、交互に各項を執筆するスタイルで展開されています。
大量廃棄という言葉から真っ先に思い浮かんだのは、サブタイトルにも含まれているコンビニでした。
貧乏学生時代にはコンビニでアルバイトをしたこともあり、賞味期限が切れたお弁当やサンドイッチに随分と助けられたものです。
そうは言っても全てのお弁当を持ち帰られるわけでもなく、当時からかなりの量を廃棄していました。
昨今では、消費期限によらず節分の頃が過ぎれば捨てられてしまう恵方巻きなどの問題が指摘されています。
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コンビニではたくさんの従業員、アルバイトがその状況を日々目撃しており、また、食品を廃棄することを問題とする良心的な業者の告発などで問題が明るみになっています。
では、アパレルはどうでしょう。
服に消費期限はないはずですが、毎年変わる流行、季節ごと発表される新作、頻繁に入れ替わる売り場。
この間まで売り場を飾っていた服は全部売れたのでしょうか。
もちろんそんなことはありません。
従業員にはブランド維持を口実にかん口令をしき、取引先の業者にも機密契約を結ぶほどの慎重さでもって、全て廃棄しているのです。
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なぜ、こんな大量廃棄処分をするのか。
環境に悪いことをするコンビニやアパレルは、けしからん。
憤る気持ちはわかりますが、根本的な理由はなにか。
それは、商売だからです。
もちろん、廃棄が直接利益につながるわけではありません。
消費者は、新しいものを好み、流行を好み、いつも同じ商品が並ぶ棚は飽きてしまう。
他店より少しでも消費者を呼ぶために、他店より少しでも先んじ目新しいことをしようと、
廃棄をしてまで棚を入替える。
新作の商品で棚を埋め尽くす。
そんな消耗合戦をしているのです。
そうしないと、消費者がお店に来てくれないから。
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消費者、つまり、自分です。
買い物は目新しいものを見るのが楽しいし、似たような商品ならできるだけ安いものを探す。
棚に商品がたくさん並んでないと、あまり売る気がないのかな、と感じる。
全てのカラーバリエーション、サイズが揃っていることが当たり前だと思っている。
同じ食品でも、賞味期限の長いほうから手にとる。
お店は、この自分の感覚に応えようとするために、廃棄覚悟で棚を埋めています。
そうじゃないと、自分はその店に行かないから。
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流行の商品ばかり買うことはできるだけやめ、ユニクロやGUの服は買わず、いったん買ったものはできるけ長く使う。
この本で言われているようなことは、頭では理解できます。
でも、強い意志をもって実行することができるかといえば、できそうにありません。
正直、自分自身が人に比べてそこまで貪欲な消費者だとは思わないのですが、今来ている服は上下ユニクロだし、コンビにで買った飲み物、お菓子をお供にブログを書いているのが現実です。
この本を否定するつもりは全くありませんが、
いったん手に入れた便利さや享楽を、自分を含め、人が簡単に手放すようには、あまり思えません。
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自分の考えや意見は、どちかといえば、この記者たちに賛同するものです。
できるだけ良い環境を維持することが大切だと感じるし、持続可能な開発目標の理念も素晴らしいと思います。
でもこの本に書かれた現実を読んで、人間の欲望という高い絶壁を前に、途方に暮れてしまったのが正直な感想です。
こういう気持ちではなく、少しでもポジティブなことを書き記したほうが、こんなブログでもほんの少し社会の役に立つ可能性があるかもしれません。
それも、頭では分かっているのですが……
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