色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹

読書感想
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹 感想

実は村上春樹があまり得意ではないのですが、たしか古本屋でみつけて本棚にしまっておいた「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読みました。

つくるが高校時代に仲良しだったグループの友人は、赤松だの青海だの、みんな名前に何かしらの色がついていて、あだ名がアカ、アオ、シロ、クロ。多崎つくるにだけは名前に色が含まれていないから、色彩を持たない多崎つくるなのかと、そのまんまのタイトル過ぎてちょっと笑ってしまいました。もちろんつくるの内面のことも重ねてのことでしょうが。

ともかく、その友達グループから、ある日突然つくるは村八分状態にされてしまいます。
明確な理由も告げられぬまま、つくるは大学生活を送り、社会人に。

そうして、随分と大人になってから、そのことがつくるのトラウマになっていることに気づいた恋人に、きちんと向き合うことを勧められます。それに従って、過去の友人にひとりずつ会いに行き、徐々に真相を明らかにしていく。というのが、この本のストーリーです。


純粋に、当時どのような理由があって仲間はずれにされたのかという部分と、それぞれの友がその後どのように成長し、現在どういう生活を送っているのか、という群像劇的な面白さがあります。

仲間はずれにされた当時のような痛みはないけれど、もう一段階ステップを上がるために、心の問題をクリアにしておかなければならない。理由を知ることだけが目的ではなく、一人一人と向き合うことで何か憑き物が落ちていくような、つくるにとっての巡礼。

この本は、2013年4月に発売され、発売前の予約の時点で既に50万部、発売後の一週間で100万部を突破という異常事態。
本が売れることに何の文句もありませんが、村上春樹フィーバーを見るにつけ、このくらいに面白い本は他にもたくさんあるだろうに、と思わずにはいられません。


比較的ストーリー性もあり読みやすい一冊でしたが、アメリカナイズドされたしゃらくさい会話は相変わらずで、素直に面白かったと言いたい気持ちもなくはないけれど、やっぱりどこか疲れが残ってしまうような、相変わらずの読後感となりました。

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