太田愛の「天上の葦」を読みました。
作者は、本職であるテレビの脚本家としても高い評価を受けており、本作品は2012年の「犯罪者」、2013年の「幻夏」に続く3作品目の小説となっています。
解説には映画評論家の町山智浩さん。
出演していたラジオ番組で、町山さん自身が告知されており、手にとってみました。
あらすじ
白昼、老人が渋谷のスクランブル交差点で何もない空を指さして絶命した。正光秀雄96歳。死の間際、正光はあの空に何を見ていたのか。それを突き止めれば一千万円の報酬を支払う。興信所を営む鑓水と修司のもとに不可解な依頼が舞い込む。そして老人が死んだ同じ日、ひとりの公安警察官が忽然と姿を消した。その捜索を極秘裏に命じられる停職中の刑事・相馬。廃屋に残された夥しい血痕、老人のポケットから見つかった大手テレビ局社長の名刺、遠い過去から届いた一枚の葉書、そして闇の中の孔雀……。二つの事件がひとつに結ばれた先には、社会を一変させる犯罪が仕組まれていた!? 鑓水、修司、相馬の三人が最大の謎に挑む。感動のクライムサスペンス巨編!
感想
正月休みに読んでだいぶたってしまったので内容はややうろ覚えですが、厚みのあるストーリーと、スリリングな展開で、たっぷりのページ数がある上下巻、全く飽きさせることはありません。
権力、政治、マスコミ、先の戦争などのテーマが絡みあいながら、時にバイオレンスな描写もあって、否が応でも重たくなってしまいそうな内容ですが、主人公である鑓水と、修司、相馬のやりとりは常にユーモアがあり、そんな三人の場面が清涼剤となります。
ミステリーとしての伏線の多彩さ、それらを回収する緊張感を保ちながら、後半には涙を誘うエピソードもあり、全方位的に満足できる圧巻のエンターテインメント小説となっています。オススメです!
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