グランドスラム大会のひとつ、ウィンブルドン(全英オープン)が7月1日に開幕。
日本人選手で本選に出場しているのは、男子は錦織 圭 (第8シード)、西岡 良仁、杉田 祐一、内山 靖崇。女子は、大坂なおみ一人となっています。
杉田はようやく今年初のグランドスラム本選、内山はうれしい初めてのグランドスラム本選です。
最高の立ち上がり、しかしフェデラーの強さが際立つ一戦に
7/10(水)
いよいよ王者に挑んだ準々決勝でしたが、6-4、1-6、4-6、4-6で残念ながら敗退。
この試合、錦織はこれまでの好調を維持した最高の立ち上がり。
まだ様子を見ているかのようなフェデラーのサービスゲームをいきなりブレークするスタート。
セットの後半からフェデラーのサービスがうなぎ上りで調子があがっていきますが、錦織もなんとかキープを続け最初のセットを取りきります。
フェデラーと錦織で一番差があるのは、サービスの質。
スピード、コース、確率。どんなにリターンが素晴らしい選手でも、ラインぎりぎりに入る時速200kmのサービスは滅多に返球できるものではありません。
第二セット以降、フェデラーはライン際に高確率でサービスを入れはじめ、それと同時に、そこまで精度の高くない錦織のサーブを徐々に攻略していきます。
苦しみながらサービスキープをする錦織に対し、いとも簡単にサービスポイントを連発するフェデラー。
調子の良かったリターンを発揮するチャンスも与えられず、精神的な疲労も蓄積していきます。
フェデラー視点で言えば、錦織のものすごいハイレベルな立ち上がりで第一セットを失うも、焦ることなく自分のサービスの質を上げることに集中。
その結果、一度呼び込んだ流れを最後まで離さない磐石の試合運び。
横綱が立会いで正面から受けきって、その後、力で押し出していくような、そんな王者の力を見せ付けられた試合でした。
今大会を通して、錦織のテニスが世界のトップレベルであることを改めて印象付けました。
王者フェデラーは御歳37でこのクオリティ。
強い若手もどんどん登場しているテニスの世界ですが、錦織にもグランドスラムで勝つチャンスがまだまだあるぞ、そんなふうに思わせる大会でした。
ハイレベルなストローク戦を制し、いよいよフェデラー戦へ
7/8(月)
錦織の4回戦、カザフスタンのククシュキンに6-3、3-6、6-3、6-4で勝利。
過去全勝の相手とはいえ、さすがにここまで勝ち上がってきたククシュキン。
フォア、バックともにそのストロークは非常にハイレベル。
錦織も、真正面から打ち合いに応じ、惚れ惚れするような鋭いラリーの応酬がなんども繰り広げられました。
今大会、錦織はほんとうに集中力が高く、これまで時折見られた急にプレーの質が落ちる時間というものがほとんどありません。
落としたセカンドセットも確かに数ポイントはミスが続きましたが、それを引きずらないメンタルの安定が伺えます。
凄いプレーを見せながら、どこか自分のできることを淡々とこなしているような落ち着き、そして要所で見せる雄叫び。プレーとメンタルの調子がかなりいい感じで噛み合っているようにみえます。
次はいよいよレジェンド、フェデラー戦。
ウィンブルドンでフェデラーとの対戦が見られるということだけでも至福。
しかも今回は、ほぼ最高に近いコンディションで挑めるというこの上ない機会。
今大会の錦織なら、多少相手にいいプレーをされても崩れないメンタルが発揮できれば、対等以上に戦ってくれるはず。
ウィンブルドン準々決勝、必見です。
冴え渡るリターン。過去一番のコンディション
7/6(土)
錦織の3回戦は、S・ジョンソンを相手に6-4、6-3、6-2。
3戦連続のストレート勝ちとなる見事な勝利でした。
序盤こそ先にブレークを許し0-3となる展開となりましたが、その後はキッチリ2ブレーク取りきって逆転。第2、第3セットは一度もブレークを許さない完璧なサービスゲームを見せ、終始有利にゲームを進めることができていました。
何より目をひいたのは、リータン。
サーブを武器とするジョンソンに、簡単にエースを与ないことで常にプレッシャーをかけ続けていました。1回戦で10本、2回戦で12本相手から奪っていたジョンソンのサービスエースを6本に抑え、セカンドサーブではどんどん攻撃していく。
ダブルフォルトを5回引き出したのも、相手の調子のせいばかりではなく、精神的にも攻めていったことが理由でしょう。
次は、シュトルフにサービスエースを26本も叩き込まれながらもしぶとく勝ち上がってきたククシュキン。
粘り強く戦ってくる印象のある選手ですが、実力的には間違いなく錦織のほうが上。過去の対戦も負けなし。今週の調子を保てれば勝てるはずです。
錦織完璧な勝利。最高の形で3回戦へ
7/4(木)
2回戦に臨んだ錦織は、地元イギリスのノーリーと初対戦。
ファーストセットこそ先にブレイクを許すも、直後にブレイクバック。
その後は終始自分のペースでゲームをコントロールし、6-4、6-4、6-0の完勝。
スピンを効かせたフォアとフラット気味のバックハンドで、ベースラインでのプレーが多いノーリーでしたが、ちょっとでも浅くなると錦織に主導権を握られてしまうので、かなり無理をすることに。そうするとミスが増え、より錦織が楽になる展開となりました。
いわば、真正面から受け止めて力で押し切ったような勝ち方。
イギリス期待の若手にこのテニスができるのですから、錦織の強さを再認識しました。
次は、サービスの速さのあるスティーブジョンソン。芝でもっとも力を発揮するタイプの選手。
しかし、この調子を維持できれば必ず突破してくれるはずです。
杉田、序盤で見せ場作るも、ナダルの壁は厚く
7/2(火)
第二シードのナダルに挑んだ杉田は、3-6、1-6、3-6のストレートで敗退。
第一セットのファーストゲームでいきなりブレークする立ち上がり。
立ち上がりは完全に杉田の調子が上回っていました。
第三ゲームも0-40まで追い詰めたにもかかわらず、そこから巻き返されてしまいます。
試合を通して振り返ると、ここをブレークしてナダルを焦らすことができていれば、違った展開もありえたかもしれません。
それにしても、プレースタイルとはいえ、杉田のラリーを見ているとほとんどダウンザラインがありませんでした。
もちろん、ネットは高いし、サイドアウトにもなりやすい。
自分からミスをするリスクを抑えているのでしょうが、いかんせん相手はナダル。
敵が待ち構えているクロスへ打っても、なかなか力で押し切ることは難しかったように見えました。
杉田の試合を見ながら、いとも簡単にダウンザラインを繰り出す錦織のすごさを改めて感じるのでした。
ここのところなかなか結果が出せていなかった杉田ですが、最高36位までランクを上げた実力は折り紙つき。
ウィンブルドン本選の直前には結婚も発表。このナダル戦をきっかけに、あの時の輝きを再び見せてほしいところです。
内山、初めてのグランドスラム初戦敗退
7/2(火)
初めてのグランドスラムに挑んだ内山は、最初のセットを取ったものの、アメリカのサンドグレンを相手に6-3、2-6、4-6、3-6で逆転負け。
途中メディカルタイムアウトも取ったようで、少し調子に波が出てしまった部分もあったでしょうか。
どちらかというと、これまでダブルスで活躍を見せていた内山。
この経験を活かして、これからどんどんシングルスでも活躍してほしいところです。
なんと試合中に肉離れになっていたそう。
早く怪我をなおして、復活に期待しましょう。
抜群の安定感。錦織、ストレートで初戦突破
7/2(火)
錦織のウィンブルドン初戦は、ブラジルのモンテイロを相手に6-4、7-6(7-3)、6-4のストレート勝ち。上位進出にむけ、上々のスタート。
第二セットではブレイクバックも許しましたが、各セットできっちりとワンブレイクずつ取っていく戦い方はさすが。
全体的にミスも少なく、ここぞというポイントでは得意のダウンザラインもよく決まり、格の違いを見せつけました。
大坂なおみ、初戦敗退。あとは決めるだけなんだけど……
7/1(月)
全仏で3回戦敗退の悔しさを秘めて臨んだウィンブルドン初戦。
プティンツェワ相手に6-7(4-7)、2-6でまさかのストレート負け。
サービス、ストロークともに、パワーとスピードでは大坂が勝っているのにもかかわらず、しぶとく返球してくるプティンツェワの甘くなったボールをことごとくミスする展開。
これでは勝てません。
しかし、得点パターンは幾度も作れていました。
甘くなったボールを決め急がずに仕留め、多少ミスしてもひきずらないメンタルを手に入れれば、ナンバーワンへ返り咲く日もそれほど遠くないと思います。
西岡 良仁、ティプサレビッチを追い詰めるも惜敗
7/1(月)
ウィンブルドン初勝利を狙った西岡でしたが、4-6、7-6(7-2)、2-6、7-5、2-6のフルセットで惜しくも敗れてしまいました。
相手のティプサレビッチは怪我でランキングを200位代に落としているものの、元トップ10にいた実力のある選手。
ウィンブルドンの天然芝という球足の速いコートでは、スピン系のストロークをベースとする西岡の良さが充分に発揮できないという面があるにせよ、ここまで粘っただけに残念……
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